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歌舞伎 隈取り体験と立ち回り体験(2年生 つなぐ手)
8日(火)と21日(金)に、立花寶山先生、車扇先生にいらしていただき、歌舞伎の隈取り体験と立ち回りを使った歌舞伎の型を教えていただきました。隈取り体験は、歌舞伎の演目『菅原伝授手習鑑』に出てくる梅王丸、松王丸、桜丸の三人の隈取りを代表の子3人が体験しました。長男の梅王丸は、長男らしい落ち着きの中に威厳がある隈取り。次男の松王丸は顔全面に赤い隈が走る、腕っぷしの強さを表す隈取り。三男の桜丸は、気立ての優しさが表れた隈取りです。各クラスから1名ずつ3人が代表として先生にお化粧していただき、それを学年みんなで見学しました。お化粧と言っても、普段おうちの人がしているお化粧とは違い、顔一面に真っ白な白粉を塗られた3人に、子どもたちは大はしゃぎ。「白いキャンパスみたいにすることで、絵のように模様を描いていくんですよ」と寶山先生。眉や眦、紅など、どんどん化粧筆で書き加えられていく様子に、最初は笑ったり、「いつもの○○くんじゃないみたい!」と話したりしていた子どもたちも、だんだん集中して見入っていきました。
この日は、寶山先生が有名な歌舞伎の演目「勧進帳」から弁慶が義経を逃がすために杯を干して舞う「延年の舞」も披露していただきました。間近で見る、迫力ある舞も、貴重な体験になりました。
「立ち回り」は、新聞紙で作った刀をもって、謡に合わせた型を教わりました。「いわゆるちゃんばらだね」という先生の言葉に、子どもたちは教わる前から楽しみで仕方がないようでした。寶山先生は「声を出すとか、自分の体を自分の思うように動かすっていうのは、何度もやっていかないとできないことだから」とおっしゃって、一つひとつの所作を繰り返し教えてくださいました。最初は振り上げたり、横に払ったりするだけでも、子どもたちは刀に振り回されていますが、最後の方になると、きちんと止めるべきところで止めたり、自然と次の動きにつながるように軸足の位置が定められるようになったりする子も出てきます。子どもたち自身が自覚するのは難しかったかもしれませんが「身体が動く」とはこういうことなんだな、と感じました。最後は、車扇先生が女形の舞「鷺娘」を披露してくださり、子どもたちはお道具などにも関心を寄せていました。それぞれのクラスで立ち回りを見合ったり、先生に質問をしたりして、あっという間の2時間でした。
隈取り体験の際、子どもたちの感想で「昔のことをもっと知りたくなった」と述べた子がいました。それに対して寶山先生は「古きを知ることは、今を知ることですよ」と話してくださいました。「昔のことは、今の自分たちの根にあたる部分。だからそこをしっかり知っておけば、今の自分に活かせるんですよ」とも。「型」とは単なるパターンではなく、「基本」であり、それは自分を作る「根」であることを学んだ2つの体験でした。