5年生
つなぐ手「水俣を伝えるネットワーク・田嶋いづみさん」に学ぶ 5年
。5年生のつなぐ手では、「水俣を伝えるネットワーク」の田嶋いづみさんをお招きしました。田嶋さんは、20年間に渡り、子どもたちに水俣病とそこから見える「人としての在り方」を伝える活動を続けられています。小学部で、この講演をお願いするようになってから、7年目を迎えました。今年も、田嶋さんの熱い語りに子どもたちは引きつけられ、素晴らしい学びの時間となりました。田嶋さん自身は水俣病の患者さんではありませんし、ご家族に患者さんがいるというわけではありません。ご自身が「わが子にいいものを食べさせたい」と購入した甘夏の箱に運命の出会いがあったのです。その段ボールに書かれていた「人に毒を食わせられた者は人に毒を食わせられん」という言葉に「この生産者の人は、全然知らない人(消費者)のことを考えているんだ。どんな人だろう、会ってみたい」と強く思ったことが水俣を伝えようとしたきっかけだそうです。チッソの工場から出た汚水がどうやって人間の体内に入ったのか、そして真実が隠されたことでより被害が大きくなったこと、「知らない」ということが引き起こした差別のことなどを話されるうちに、田嶋さんの口調も熱くなっていきました。水俣病は、メチル水銀という毒が人間の体に濃縮されて溜まっていく(生物濃縮)ということで発症します。これは言い換えれば、普段食べている「いいもの」が凝縮されているのも、また人間なのだと田嶋さんは説明されました。「だからこそしっかり食べることは基本。そうやってできるあなたたちの身体はダイヤモンドの塊みたいなもの。かけがえのない存在になのよ」と、田嶋さんは言葉を続けます。食育で勉強している子どもたちにとって、とても納得のいくお話でした。
人工的に作られた毒は、「お母さんからおなかの中の赤ちゃんにつたわってしまう。」普通は、自然界の中にある悪いものは、お母さんから、赤ちゃんには伝わらないという人間が46億年続けた当たり前のシステムを崩してしまう恐ろしさがあるのだということも教えてくださいました。田嶋さんが伝えてくださったことで印象的だったことは、「知ることの大切さ」でした。「事実を知ることで人と出会い、正しい形でその人たちと友だちになれる。それは今のいじめも同じこと」、「だから真実を学ぶことって大切なの」という田嶋さんの言葉に、子どもたちも強くうなずいていました。きっと子どもたちは、勉強する意味を確かめたことでしょう。最後に、水俣病の中にあっても、人々は生まれながらに水俣病に侵された子どもたちを「宝子」と呼び大切に育てたというお話がありました。子どもたちにとって親の愛情の深さを感じ取るよいお話でした。
以下は、子どもたちの感想です。
☆水俣病のことを通して、命の大切さを知ることができました。また、水俣病は近くて、いまも続いている病気だと知ることができました。今も私たちにできることがあるので、しっかりと考えていきたいと思いました。私が印象に残ったことはダイヤモンドのような力をがあるものを食べて今の命があるということでした。だから一回一回食事を大切に食べていきたいと思いました。また「水俣病とちゃんと向き合うことが大切」という言葉も印象に残りました。私は見て見ぬふりをするのではなく一つ一つしっかりと向き合っていこうと思いました。
☆この授業で水俣病にかかった人の写真や映像を見て、とてもつらそうで、見ていて心がいたくなりました。けれどえいこさんの映像を見て、この人は「前向きな人だな」と思いました。それは「水俣病にかかってうれしかった。たくさんの人に会えたから」と話していたからです。ぼくもこういう風に前向きな人になりたいです。水俣病の人たちは生命力があると、智子さん(上村智子さん。胎児性水俣病の患者さん 笹野注)を例に話されていました。家族は言葉だけではなく心もつながっていると言われていて、ぼくもそう思いました。なので「産んでくれてありがとう」と感謝しながら毎日毎日を大切にしていきたいと思います。