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5年生授業紹介

知る意味、学ぶ意味 5年生 つなぐ手「水俣」のお話

 5年生では、先週金曜日、「水俣」を子どもたちに伝えるネットワークの緒方さん・田嶋さんをお招きして、「水俣」のお話を聞きました。

 お話の初めに、緒方さんから「水俣」について、「近い?遠い?」と聞かれた子どもたちは、ほとんどが「遠い」と答えていました。水俣病が公式認定されたのは、1956年5月。起きたのは熊本県。遠く離れた場所での、自分たちが生まれるずっと前の出来事を「遠い」と感じるのも、無理はありません。一方、同じようにお話をして下さった緒方さんについて、近いか遠いか聞かれると、今度は答えが割れました。そして、自分たちのお母さんと同じくらいの年代の方だということや、相模原市で暮らしていること、ピアノを演奏されることなどを聞き、共通点があることが分かると、子どもたちの答えはぐっと「近い」よりに変わりました。「知る」ことで、遠いと感じていたことも近く感じることができるようになるのだという実感を得ることができました。

 緒方さんは、「水俣」から、4つの学びを得ることができるとお話をして下さいました。1つ目は、「いのちの場所」。水俣病は、海に流れた工場排水に入っていた有害物質を含んだプランクトンを小さな魚が食べ、それを大きな魚が食べ、人の口に入るという食物連鎖の流れで人々の中に入りました。私たちは、生き物の命を頂きながら生きています。海や山などの自然を守り、綺麗にすることが、結果私たちが良い物を食べることに繋がるのだと学びました。また、水俣病の患者さんの中には、生まれる前の赤ちゃんが罹患する、胎児性水俣病があります。このことから、二つ目の学びとしていのちの繋がり、つまり「いのちの歴史」を感じることができました。

 三つ目の学びは、田嶋さんがお話をして下さいました。当時、水俣病だというと、石を投げられるなどのいじめや差別があったそうです。それは、人々にとって、水俣病の原因が分からないことから起きたことです。事実を知り、事実と向き合うことで、豊かに生きることができる。そして、知ることによって、繋がった人に、優しくなることができる。「知らない」ことで、差別やいじめが起きるのだと話して下さいました。「知る」ことの意味、「学ぶ」ことの意味を子どもたちも、そして私自身も改めて感じることができました。
 最後に、四つ目の学びとしてお話されていたことが、「いのちは希望」だということです。人を人だと思うこと、人の絆を感じながら生きること。その大切さを教えて頂きました。今回のお話の中で、水俣病患者の方の写真をたくさん見せて頂きました。中には、幸せそうに笑っている写真もあり、「水俣病の患者さん」ではなく、「一人のひと」であることを感じることができました。

 ずっと昔のことだと思っていた「水俣病」。しかし、今年の9月の段階でもなお、1521人の方が水俣病と認定されることを願い、8つの裁判が行われているのだそうです。「遠いことじゃないいんだ、今にも続いているんだ。」と子どもたちも驚いていました。
 緒方さん、田嶋さんは、スライドの中で、水俣のことを、「水俣」と表現されました。この「 」は、今、ここでのことである印なのだそうです。今の自分の生活を考えること、大切にすることが未来に繋がるということを学びました。

児童の感想
今日のお話で、「水俣」はまだ続いているんだ、身近なんだと思いました。私は、水俣病は戦争みたいに人から人へと伝えていくものだと思いました。水俣病は、たくさんの人を殺めましたが、これから次の世代に伝えていき、このようなことがまた起きないと良いなと思いました。
・私はネコや犬などで実験をすることがかわいそうでした。これからは、空気などをきれいにするために、目に見えるゴミなどを拾いたいと思いました。
・水俣病のお話の内容は少し難しかったけれど、それだけ水俣病はすごく大変だということが分かりました。写真を見たとき、最初はこわかったけれど、これだけつらい思い、苦しい思いをしたのだと分かりました。
・原因が分からないことでいじめられて、水俣病になった人たちはとても大変だったと思います。話をしてくれたおかげで、とても最近のことだと知りました。私のイメージでは、とても古いことだと思っていました。
・このお話を聞いて、水俣が近い存在となり、いのちについて、事実についてたくさん学ぶことができました。特に印象に残ったのは、公式確認されてから65年も経っているのに、1521人もの人が水俣病患者認定を願っているということです。これからは、環境を考えることで、自分の生き方を考え直し、よりよい社会にできるように物事の考え方を変えていきます。
・石をなげつけるといういじめはひどいと思いました。とてもいたかったと思いますし、つらかったと思います。今度他の学校の子や友だち、家族に水俣病のことを教えたいです。痛さ、つらさ、亡くなったこと、いじめられたことを教えたいです。
・熊本は水がきれいだと聞きますが、まさか水の事件があったと知ってびっくりしました。水俣病になった子は、かわいそうだと思いますが、それでも笑顔でいるのはすごいなと思いました。
・最初、チッソ工場をにくみました。でも、それがないと生活ができなかったことを知りました。しかし、このようなことがあっても、「水俣が好き」という考えに共感しました。多くの人にしってもらいたいです。
・水俣は悪いところではなく、海が綺麗な街という印象になりました。「自分たちは、海や森に守られている」ということに衝撃を受け、やはり自然は大切にしなければいけないと思いました。
・とても勉強になったことは、事実を知る(学ぶ)ことで、豊かに生きることができるということと、水俣は「希望の地」だということです。そして、水俣と聞くだけで、-になるけれど、どうしたら+にするか、自分なりに考えてみました。やっぱり、水俣のことを知って、自分たちが未来につなげるということだと思いました。
・途中から、工場が悪いと思い始めて、なぜそんなにも海に有機水銀を出してしまったのか、それは人間がいろんなものを多く発展させてしまったため、出してしまったと聞いて、今のSDGsみたいだと気づき、近い存在だということに気がつきました。なので、私たちも自分たちで作る、きれいな未来を作っていきたいと思います。
・今回授業を受けて、水俣で20万人以上の患者さんが出てしまう水俣病があり、その病気の患者さんはまだこの世にいて、ずっと続いていることを知りました。たくさんの患者さんの中にはお母さんのおなかの中にいるときに病気になってしまう子もいて、とても悲しいことが水俣であったのだなと思いました。