5年生体験学習授業紹介
食育5年 鰯の手開き①「鰯を調理しよう」
つなぐ手の食育の学習として、鰯の手開きを体験しました。子どもたちの魚ばなれが進んでいる中、現在では、ファストフィッシュと言われ、手軽に気軽においしく、水産物を食べること及びそれを可能にする商品や食べ方が聞かれるようになってきました。骨を最初からとって売っていたり、そのままレンジでチンすればいいだけになって売っている商品のことです。そんな中、『魚を自分の手でさばき、骨から身から全ていただくこと』を目的に、鰯の手開きに挑戦しました。鰯は栄養価が高い上に、ヘルシーな食品として健康効果が注目されている食材です。歯や骨の素となり骨粗鬆症を防ぐカルシウムと、そのカルシウムの吸収を助けるビタミンDが両方含まれており、成長期の子どもにはおすすめの栄養的に非常に優秀な魚だそうです。最初に本学の食物栄養学科の学生さん達(EKS)の方が手開きの見本を見せてくれました。実際の鰯を目にし「鰯ってこんなにかわいい顔をしてるんだ」とのつぶやきが。「普段、いつもお刺身の状態でしか見たことがないから、初めて見た」確かに、家庭では、お魚を一匹丸ごと買ってきて調理することは、ほとんどありません。切り身の状態で売られているので、魚自身を見ることは子どもたちにとっては、珍しいことのようでした。まずは頭をはずします。内臓が見え、血が出てくる状態に、「あ~、2時間ドラマの殺人事件を見て、血に慣れておけばよかった…。」と謎の言葉を発したり、「あ~、痛い!」と鰯の気持ちになり、友達と抱き合いながら見たりと様々な姿が見られました。最後、きれいに骨を取って手開きの状態になると「お~お!」と感嘆の声が。はずした骨も今回はムダにしません。骨せんべいにして食べると聞き、びっくりしていました。
さあ、今度は実際に子どもたちが手開きに挑戦です。最初は、鰯に触るのもおそるおそる。頭をとって内臓を出すところでは、なかなか骨が折れずに苦労しつつも、子どもたちの反応は大きく二手に分かれました。果敢に黙々と挑戦し、内臓をまじまじと見つめ、鰯の体の構造を確認している子。かたや、「いや~!」「できな~い!」「無理!無理!無理!」と騒ぎながら、お友だちに「大丈夫だよ」と励ましてもらったり、EKSや保護者の方にお手伝いしていただいたりしながら、何とか頭をはずすことができた子とさまざまでした。そして、次は手開きです。骨の上に親指を入れ、ゆっくりと左右に開きます。その後骨を身からはずします。頭さえ離れてしまうと気持ちが落ち着き、みんな静かに取り組むことができました。1匹終わると、できた喜びと満足感から「意外と簡単だった」と表情も明るくなり、二匹目は自分たちで進めることができました。
生魚を触るのも初めての子が多く、自分の手で開くことで「かわいそう」「こわい」との思いを抱えながらも、普段自分たちがおいしく食べている魚は、大切な『命』をいただいているということに、改めて気づくことができました。
手開きが終わった後は、蒲焼きにするために鰯を焼きます。ここまでくると、子どもたちにとっては家庭で見慣れているいつもの光景。両面を焼き色が付くまでしっかりと焼き、用意しておいて下さった蒲焼きのたれを絡めます。家庭科室に漂うたれのいいにおいに、子どもたちは「おいしそう~!」「早く食べたい!」と、すっかり気持ちは食べることに向いていました。食中毒を防ぐために生焼けにならないように、子どもたちが焼いている時には、フライパンの上で専用の機械を使い、魚の身の温度が75度で1分以上火を通すなど、細かなところに配慮していただき、おいしい蒲焼きが完成しました。