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エッセイ Vol.7 羽生 宏人


「20メートル」で気象観測

2024年11月1日

好きな場所の一つとして、JAXA内之浦宇宙空間観測所(USC)の衛星ヶ丘展望台(ほしがおかてんぼうだい)をご紹介したいと思います。ここは直径20メートルの通信アンテナが設置されている場所となっており、USC場内で標高が最も高く、周辺が一望できる景色のよい場所です。特に空気の澄みきった冬場は、遠くに種子島のシルエットが明瞭に確認できますし、さらに条件が良ければ屋久島の姿まで見通せることがあります。USCはJAXAが管理するロケット発射場ですが、制限エリア以外は一般の方の入場および見学が可能で地域の観光スポットにもなっています。この展望台は、職場では通称「20メートル」と呼ばれており、職員に対しては「20メートルに行ってくる」で十分に通じますが、一般の方には何のことやらさっぱりわからないでしょうね。
私が若手のころ、ロケットの組立て整備期間中に上位の責任者から「天気が気になるから20メートルで見てきてくれ」と頼まれることがしばしばありました。そんなときはこの場所で空模様をじっと眺めていたものでした。顔に雨粒があたれば都度責任者に一報を入れるといった地道な仕事でした。当時は、ロケットの打上げ責任者は大変だなとやや他人事のように考えていました。逆の立場になった今、当時の責任者と同じように「20メートルで様子を見てくれないか」と頼むことがあります。「20メートル」は、今でもロケット打上げに欠かせない大事な気象観測所となっているのです。

職位:客員教授
学歴:東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 博士課程修了 博士(工学)学位取得

■所属学会・委員会
一般社団法人火薬学会 評議員
日本ロケット協会 会計監事



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