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エッセイ Vol.6 金子 修介


キラキラした沈鬱

2024年9月4日
私の学生時代というと50年前の東京学芸大学入学の現役合格から始まるが、“キラキラした沈鬱”というか、他に表現が見つからない感情に支配されてクラスで自己紹介をした。教育学部しかない学芸大学の小学校教員養成課程国語学科4クラスあるうちの2組(オ〜シまでの名字)は、42名中3名が男子であったが、オギノ君は1週間で退学して来年早稲田を目指すと言い、ゴボウ君は1浪していて3年の進級が出来ずに後半の2年間、カネコ君はクラスに一人だけの男子となった。
学芸大学のカリキュラムは1本線を引けば全部選択出来ると言われたくらい、クラス単位の授業が多く、女子は代返(出欠確認時に身代わりで返事)してサボることも可能だが、男子は2人では無理なので、単位を取るために3分の2以上出席していい加減なレポートでお茶を濁していた・・・の言い訳をすると、星野安三郎先生の憲法とか一般教養の授業、国語学科ならではの源氏物語の授業などは面白いが、ナントカ教育学は退役した偉そうな元教員の方々が「子供ってものはねえ云々」なんて言われてもこっちは実は映画監督になりたいので「どうでもいいだろ」とイライラしながら後方の席に座っているその前は全員女子の後ろ姿で埋まっていて・・・

写真は、大学なのにクラスのホームルーム的な授業初日の自己紹介の後オリエンテーションも終わり、教室でぐずぐずしていたら「写真撮りましょうよ」と誰かが言って中庭で撮ったのでクラスの半分くらいだと思う。他の男子2人は直ぐに帰ったのか覚えてないが・・・自己紹介では私は「趣味は漫画を読んで漫画を描く、小説を読んで小説を書く、映画を見て映画を撮ることです」と言ったら「へー!!」と言われた。もちろん「へー」と感心されたくて気負って言って女子から注目されたかった18歳。
クラスメートのみなさん可愛らしく優しく、こちらをリスペクトしてくれて随分気を使ってくれていたと思うが、自意識過剰だと自分でも分かりながら息詰まったり戯けたりカッコつけたりしたので“キラキラした沈鬱”の他に良い表現が見当たらないなあ、50年経つと・・・。

職 位:客員教授
学 歴:東京学芸大学教育学部 卒業

<監督作品>
『1999年の夏休み』(1988)、『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)
『ガメラ2 レギオン襲来』(1996)、『デスノート』(2006)
『プライド』(2009)、『リンキング・ラブ』(2017)
『信虎』(宮下玄覇共同監督)(2021)、『ゴールド・ボーイ』(2024)など多数



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